0. 神奈川県下の中古マンション市場を分析してみる 分析・可視化編その1
前回、クレンジングを完了させたデータをもとに、可視化と分析を進めていくことにします。
いろいろと可視化していきたいので、こちらも何回かに分けて紹介していくことにします。
この手のデータであれば、まずざっくりと概要を知りたいと思うのが人情というものです(?)。
ということで、全体から調べていくことにしましょう。全体といっても、価格と関係あるものからです。
1 価格の分布
まずはやはり価格の分布です。
ボリュームゾーンは3千万円くらい、5千万円をこえる物件はほとんどなくなってきますね。
価格は駅からの近さや所在階に強く依存
するだろうことが想像できます。
そこで、これを調べてみたいと思います。
2 所在階の分布と価格の関係
高層マンション、多いような気もするけど気のせいかもしれません。
なるほど、こちらのボリュームゾーンは5-6階以下ということのようです。
10階以上の高さのマンションなんて、ほとんどないことがわかります。
そして、所在階と価格の相関関係を確認してみましょう。
なかなかはっきりとした相関が現れていますね。
ただ、階が低いのに非常にお値段が高い物件があることがわかります。
広さなど、他の要因で価格が高くなっているのでしょう。
このグラフから、筆者が読み取った内容として、以下のことが言えるかと思います。
- 15階以下の物件は、所在階と価格に強い
相関関係はない
- つまり、15階以上の物件は、所在階が価格を決定する大きな因子となり得る
こうなると、1階と最上階で果たして差が出るかどうか見てみたい。
“階割合” = “所在階” / “階建て”
そこで、上記のように定義した階割合で、有意に差が出るのかどうかを見てみましょう。
その結果はこちら。
15階以下の建物を対象に、可視化しました。
階割合=1となるところが最上階となるわけですが、、、
若干、5千万円以上の物件が多いような印象がありますが、全体からすればむしろ右肩下がりの傾向にあります。ごくわずかですが。
これ、同じ物件や同じような間取りで比較しないと、意図した結果は得られそうにありませんね。ちょっと面倒そうなので、これ以上は追わないことにします。
3 築年数の分布と価格の関係
築年数と価格の関係を、その分布と一緒に表示してみましょう
おお!
みごとに負の相関が見て取れますね。
このグラフも、よくよく見てみると、以下のような特徴があることがわかります。
- およそ築20年くらいで、価格が下げ止まっている
- 築年数がおよそ20年付近の物件がボリュームゾーン
これについてちょっと考察してみましょう。
3.1 築年数が20年が意味すること
これは実はよく言われることなのですが、実はマンションの資産価値は10-20年で下げ止まる
ことが知られています。これは年数が経つにつれて建物の資産価値が減り、土地の価値しか残らなくなるからです。このグラフは、このことを如実に示していますね。
裏を返すと、一転年数を経過したマンションは、(語弊はありますが)土地の資産価値が価格の重要なファクタであり、建物には価値はありません
。
これが何を意味するか。土地は移動しませんので。。。。つまり、資産価値が減る可能性が低い、ということです。また、あとから近くに鉄道駅や大きな幹線道路が開通したりすると、土地の資産価値が上がります。こうした計画はそもそも10年単位ですから、情報の収集は容易です。
また合わせて言われることは、設備の瑕疵です。
こうした問題は、年数が経たたないと問題が発覚しない
ことがあるらしく、10年もすると出尽くすと、どこかで読んだ記憶があります。
したがって、筆者はこう考えます。
- 中古マンションなら少なくとも築10年のもの以前、築30年くらいまでを検討範囲にすべき
- 土地は移動しない。なので、交通の便がよいエリアからまず探すべき
- 現時点で交通の便が悪くても、今後それが改善す高い見込みがあるなら、そのエリアも検討すべき
となります。
参考までに、こうした情報が載っているURLを紹介しておきます。
中古マンション「築20年以上」が実はお得なわけ
中古マンションのねらい目は築何年? 築年数別メリット&デメリット
3.2 築年数が20年付近(竣工年が1998年付近)の物件が多いことが意味すること
このころ、日本はITバブルが弾けてしばらくたった頃ですよね。
でも、それ以上のことはちょっと調べただけではわかりませんでした。
ただ、1.3.1で述べたように築20年くらいの物件をターゲットとすると、物件の選択肢がかなり多くなることが示されているといえます。
設備もそれほど古くなく、瑕疵も出尽くしており、かつ修繕積立金などの管理や財務状態が良い物件ならば、下手な新築よりマンション自体、長持ちする可能性もあるようです。もしそういう物件ならば買いでしょう
。
4 交通条件
交通条件としては、主に
- 鉄道駅からの距離(徒歩分数)
- 利用できる駅の多さ
- 駅から徒歩 or バス
といったところが観点になりますよね。
それぞれ見ていくことにしましょう。
4.1 鉄道駅からの距離(徒歩分数)
まずはグラフです。
おお、これまたきれいな負の相関関係が見えますね。
そして徒歩25分以上の物件、意外に数があるな。。。。。
徒歩25分以上の物件が意外にあると書きましたが、それは想像と比較しての話です。全体の件数からすると、ほとんどありませんね。現実的には、バスがあればバスを使うから、徒歩時間は、ある一定の時間より低いものばかりになるのでしょう。というか、バスを交通手段として記載するようにするのは、徒歩何分以上からなんでしょうね。
そして、徒歩圏内の物件に絞り、駅からの徒歩時間の分布を見てみました。
10分がピークで、それ以上あるく物件は急激に減ってますね。
やはり、それでも駅からちょっと歩く物件ということか、専有面積が広かったりするのでしょうか。
こちらも確認してみましょう。
うん、広さは全く関係ないね!
ということは、もう
駅からどのくらい歩くか ≒ 予算との折り合い
といい切れてしまいそうです。
4.2 鉄道駅からの交通手段
鉄道駅からの交通手段の違いによって、価格に差が出るかどうかを見てみましょう。
こうしてバイオリン図を描いてみると、以下のことが言えそうです。
- 徒歩圏内の物件価格の幅が広すぎる
- 当然だが、徒歩圏内 > バス圏内 > 車圏内の順で価格は低くなる傾向にある
- っていうか、最寄の鉄道駅からの交通手段が車ってどういうこと?
In [9]: suumo_df[suumo_df["交通0_交通手段"]=="車"]["町"]
Out[9]:
586 足柄下郡湯河原町宮上
744 足柄下郡箱根町宮城野
840 足柄下郡真鶴町真鶴
856 秋谷1-7-26
1011 法泉3
1119 足柄下郡真鶴町真鶴
1135 足柄下郡真鶴町真鶴
1162 足柄下郡湯河原町宮上
2507 足柄下郡湯河原町宮上
3654 足柄下郡湯河原町宮上
5100 足柄下郡真鶴町真鶴
5422 足柄下郡湯河原町宮上
5513 足柄下郡湯河原町宮上
5827 京町3
Name: 町, dtype: object
なるほど、このエリアなら仕方ないですね。別荘かもしれないです。
件数も多くないし、最終的な価格予測からは、これらの物件は除外してもよいかもしれません。