神奈川県下の中古マンション市場を分析してみる その5
06
- 9月
2018
Posted By : boomin
神奈川県下の中古マンション市場を分析してみる その5

前回、地図上にいろいろと可視化するための手法を紹介して、実際に可視化をしてみました。 位置情報からの可視化の結果、やはりマンションの特性として、地域性をそれなりに盛り込む必要がありそうです。

そこで、今回は市区町村を切り口に、いろいろと可視化と分析をして見ようと思います。

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1. 前回のおさらい

前回、中古マンション価格の平均値を地図上で可視化したものを、あらためて眺めてみます。

鉄道駅周辺でスポットが作られているのがわかりますね。 ただその鉄道駅にしても、いずれかの行政上の市区町村に属するわけです。 鉄道駅のほうが有用そうだけど、数が多くて可視化方針として面倒そうなので、 行政区分にしたというのが本当のところなのですが、、、、、

それでも行政区分にすれば、人口統計情報を組み合わせる ことができます。 今回は、そうしたデータの組み合わせも加味して、可視化を進めていきます。

2. 基本情報の可視化

2.1 自治体ごとの物件数の比較

まず、市区町村ごとの売り出し中物件の件数をヒストグラム化します。

あ、色は無意味なグラデーションです。

やはり、横浜市と川崎市にの物件数が多いことがわかりますね。 相模原市も多いですが(政令指定都市だしね)、意外にも

  • 大和市
  • 藤沢市
  • 鎌倉市
  • 茅ヶ崎市
  • 厚木市

も、物件がそこそこあることがわかります。 (ただし2018年8月1日現在)

それにしても、横浜市港北区が、こんなに多いというのはちょっと意外です。
東急東横線、横浜線の新横浜あたりが、物件数を押し上げているような気がしますね。

東京都の物件もちょいちょいありますね。 これは、神奈川県内の鉄道駅が最寄駅の物件を検索して取得したデータなので、 東京都との県境だと、住所上、都内になる物件があるためです。

2.2 自治体ごとの価格の分布

次に、自治体ごとの価格の分布を見てみましょう。

またしても、色には意味はありません。 なるほど、自治体によって、特徴がでるものですなぁ。

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2.2.1 横浜市西区、横浜市中区

上方の外れ値がハンパないですな。こうした物件が、他の自治体と比較して、 この地域の価格の平均値を、大きく引き上げてしまいます。 目的によって、中央値と使い分けないと、ミスリードしてしまいそうです。

そこで、ちょっと四分位を超過している外れ値のマンションについてみてましょう。

所在階

10階以上の物件が,特に西区で多いですね。 10階どころか20階以上のものも結構あります。 こうしたマンションが、平均価格を大きく引き上げているのでしょう。

階建て

その物件のマンション自体が、何階建なのかの分布です。 10階以上の物件が多く、タワーマンションがそこそこの割合を占めてるっぽいですね。

総戸数

そのマンションの総戸数の分布です。 西区の方が、大規模物件が多い傾向があるようですね。 横浜駅周辺なので、なんかわかる気がします。

しかし数個、総戸数が1200近い物件がありますね。 なんという大規模物件。。。これ、入力ミス?

・・・・入力ミスやん!

M.M.TOWERS FORESISという物件だったのですが、L棟とR棟があります。 それぞれ600戸くらいなので、もしかしたらこの合計が入力されたのかもしれませんね。

専有面積

こちらは、中区の方が、若干ではありますが広い物件が多いようです。 が、神奈川県内の他の物件と比較して、特段の違いはなさそうです。

これらの結果を見てみると、横浜駅周辺〜みなとみらい〜山下公園にかけてエリアのタワーマンションが、ずば抜けて高価格ということになりそうです。

2.2.2 鎌倉市

鎌倉市も、上方の外れ値の件数が多いですね。古都ですし、緑も多いので人気があるのでしょうか。

確かに、あまり駅に近くないエリアにも広い邸宅がたくさんある地域というイメージがあります。昔から文豪や著名人が立ち寄ったり滞在したりして、そういう面から高級感もあるのでしょうか。

2.2.3 川崎市中原区

先ほどと同じグラフを、上限を1億円にして拡大して見ましょう。

川崎市中原区は、以下の特徴があります。

  • 四分位範囲(箱の部分)の位置が高い
  • 最大最小の範囲が広い

おそらく、武蔵小杉駅周辺のタワーマンションと、隣接駅エリアのマンションで価格が異なるために、こういうことになるのだと推測します。

2.2.4 葉山市

葉山市も、四分位範囲の位置が高いことがわかります。 比較すると、東京都大田区とほぼ同じですね。 三浦半島の方の(失礼!)物件と、都内の物件の売り出し価格幅が大体同じとは、、、、、

葉山は御用邸があったりするし、高級住宅街です。 なので、マンション価格も高いのかもしれません。 が、マンションに住もうと思う人と、葉山に住みたいと思う人が、筆者の中で同じ人だというイメージが沸きません(一軒家を探していそう)。 不動産、いろんな人がいろんな思惑で探していることを示す、良い事例なのでしょう。

2.3 築年数の分布

今度は、自治体ごとの築年数分布を見てみましょう。

四分位範囲は、どの自治体もおおよそ築15年〜35年の範囲ですね。 ここから大きく外れている自治体がいくつかあります。

しかし、これらの自治体(開成町、葉山町、大磯町、寒川町など)について物件数をみてみると、そもそも少ないです。 つまり、特定のマンションがたまたま新しかったり古かったりして、結果的に大きな偏りが出るようです。

2.4 徒歩分数の分布

こちらも築年数と同様に、物件数が少ない自治体の場合、特定の物件の情報が反映されてしまいます。すると、統計的な物の見方ができません。

そこで、自治体ごとに見てみることにしましょう。と、その前に、全体傾向を見てみます。

。。。。あれ? 徒歩10分のところにピークが来て、なんか 11分の物件が変に少ない 気がしませんか? しかも、5分のところも15分のところも、同じような傾向があるような気がします。

では、自治体ごとに確認しましょう。 確認は、自治体ごとの販売中物件数が多い自治体順に4つ紹介します。

2.4.1 結果の可視化

横浜市

川崎市

相模原市

藤沢市

結果の整理

  • だいたいどの自治体エリアでも、5分、10分、15分に物件数ピークがある。
  • 特に、徒歩10分と15分のところの物件数ピークが顕著

これ、**絶対におかしい**だろ!!!!

こちらにも書かれていましたが、 出会い系サイトには29歳の女性や身長170cmの男性が異常に多いことと同じ現象らしいですよ

要するに、閾値ギリギリに、切り下げしてスペックを載せるということです。 つまり、16分だったら15分と書いちゃう、そういうことが平然と行われるようです。

3. 人口統計との関係

気を取り直して、分析を続けます。

市区町村で物件の特性が大きく変わることがわかりました。 そこで、以下から自治体ごとの人口に関するデータを取得し、この情報も加味して分析してみます。

  • 神奈川県の人口と世帯
    • 人口統計調査結果
      • 人口と世帯(平成30年7月1日現在神奈川県計 県内市町村)(エクセル:21KB)

3.1 人口統計の可視化

まずは、このデータをそのまま可視化してみましょう。

人口総数と人口密度って、弱い相関があるようですね。 また、物件価格とも弱い相関があるようにも見えます。

3.2 人口統計と不動産価格(中央値)の可視化

人口と価格の関係

人口が多いエリア≒人気エリアであれば、人口総数と物件価格との関係性には相関関係が成立しそうです。それを確認して見ましょう。

う〜〜〜〜〜〜〜〜ん、相関関係はあるにはありそうですが、強くはなさそうです。 でも、説明変数の一つには十分に入れる価値のある変数のようです。

人口密度と価格の関係

人口より、むしろ人口密度の方が、物件の価格と良い孫観関係にありそうです。 さらに、物件数とも相関関係にありそうな雰囲気がします。

1世帯あたり人数と価格の関係

あら、こちらは負の相関関係にありますね。 物件数も、負の相関関係にありそうです。

これはどういうことなんでしょうね。 世帯あたりの人数が多い、つまりファミリー層が多く住むエリアの物件は安い。。。

ファミリー層は、どちらかというと一軒家志向なのかもしれません。 その結果、ちょっと駅から遠くても比較的広い土地を確保できるt広い土地を確保できる場所で、一軒家を探す、とか。 もしそうだとすると、相対的にマンション需要は減少するでしょうから、このように世帯あたり人数と負の相関を持つようなことになるのかもしれません。


人口総数や人口密度、1世帯あたりの人数などの相関係数を表にしてみましょう。

相関係数の値が正だったり負だったりしますが、市区町村別の物件価格の中央値と人口統計値とは、相関関係がありそうです。

ちょっと筆者が気になったところを抽出して、さらに表にしてみます。

価格中央値との相関係数相関係数考察
物件数0.629人気エリアには多くのマンションが建築されるため物件が多い?
世帯数0.496分譲マンションは、所帯持ちが住む傾向にあるということか
人口総数0.453物件数、世帯数が多いので、結果的にそのエリアの人口は当然、多い
人口密度0.673マンションが多いほど、単位面積当たりの住民が多くなる
1世帯あたり人数-0.347負の相関関係となるのは、ファミリー層が多いエリアは、一軒家の需要が高いからか?

悩ましい。

3.3 人口統計と不動産価格(中央値)の可視化結果の考察

人口総数や人口密度が高いエリアと価格に相関関係にあるのは、

  • 人がいっぱいいる
  • 住みたい人が多い
  • 人気エリア
  • 物件価格上昇
  • それでも人が住みたいからマンションが建つ
  • 物件価格上昇。。。。

こんなループが回っているからではないでしょうか。 鶏が先か、卵が先か。

最終的に、説明変数を選んでRamdom Forestにでも突っ込もうかと思っています。 それにしても、説明変数の選び方は難しいですね。 ここまでの可視化を見てみても、全部突っ込めばいいというわけでもなさそうです。

4. 終わりに

今回はここまでにして、次回以降、説明変数を絞って機械学習にかけてみたいものです。

あ、でも、どの駅が最寄駅か、も価格にかなり効きそうなんだよな。 この情報、どうやって説明変数に取り込もうか。。。。。one-hot表現にすると、ベクトルのサイズがかなり大きくなってしまいそうだけど。。。そんなんで良いのかな。。。

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