上場企業を分析してみる その2

 

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概要

今回の分析について

前回は、国内全上場企業、3,655銘柄を対象に、
利益率、PER、PBR、ROEのヒストグラム分布を確認しました。

その結果、一般的にお買い得と判断するためのこれら指標における判断基準が、
どの程度確からしいのか、感覚を掴めたと思います。

 

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今回の分析について

そこで、今回の分析は、1次元の情報だけでなく、2次元、3次元、4次元の情報を盛り込んで見ましょう。

自分で言うのも何ですが、ここまで情報を盛り込むと、返ってい理解しづらくなります。そのため、可視化する際には、いかに直感的に理解できる手法を使って、何を読み取りたいのかを明確にしておく必要があります。

 

株価と企業の財務諸表の値を、統計手法を使って可視化してみる

 

使用したデータ

まずは、何を可視化しようとしているのかを明確にしておきます。

ここは前回と同じ、国内全上場企業、3,655銘柄の財務諸表を対象とします。

  • 2017年6月23日時点の株価、発行株式数などを使用して計算された指標を使用する。
  • 国内の株式市場に上場している、以下の市場を対象(全3,655銘柄)
    • 東証
      • 東証1部(2024銘柄)
      • 東証2部(525銘柄)
      • 東証マザーズ(237銘柄)
      • 東証JASDAQ グローズ(42銘柄)
      • 東証JASDAQ スタンダード(710銘柄)
    • 名証
      • 名証1部(5銘柄)
      • 名証2部(56銘柄)
      • 名証セントレックス(12銘柄)
    • 福証
      • 福証(22銘柄)
      • 福証Q-Board(6銘柄)
    • 札証
      • 札証(9銘柄)
      • 札証アンビシャス(7銘柄)
    • ただし、優先出資証券の以下の2銘柄は、取り扱いの対象外とする
      • 日本銀行
      • 信金中央金庫

 

利益率、PER、PBR、ROEの振り返り

前回も可視化しましたが、そもそも、それぞれ指標が何を意味するのか、改めて振り返って見ましょう。

指標概要世の中で妥当と呼ばれる範囲※
営業利益率売上高に対する営業利益の割合5%以上
PER株価収益率。時価総額÷純利益などで計算15倍未満
PBR株価純資産倍率。時価総額÷純資産(株主資本)などで計算0.5〜1.5倍
ROE自己資本利益率。自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合8%以上

 

さて、もちろんお約束ですが、以下の点にはご留意ください。

  • 筆者がググったりしたりするなど、あくまで品者の考えを元にした情報です。
    • この値の妥当性の判断は読者の皆様にお任せします。
  • もちろんこの情報に基づいて取引した結果については、筆者は何の責任も負いません。

 

それじゃ、早速可視化!

それでは、順に可視化の結果を確認していきましょう。

 

PERとPBR、そして売上高と営業利益率

以下のように、可視化をして見ました。

縦軸  :PBR
横軸  :PER
円の直径:売上高
円の色 :営業利益率

 

PBRとPBRを軸にしてみた
 

この可視化結果から、どのようなことが読み取れるでしょうか。
全てではないし、筆者の主観ですが、以下に述べていきましょう。

 

規模が小さい優良株が意外にある

こう言っては失礼かもしれませんが、会社の規模こそ小さいもの、しっかりと利益を上げている企業がポツポツあることがわかります。
(※茶色で円の直径が小さいもの)

加えて、PERにしても、PBRにしても、かなり広い範囲にばらついていますが、
一定の企業規模が大きい場合、PERもPBRも、ある程度小さい値に収まる傾向があるようです。
これは

 

多くの企業の利益率は4-8%の範囲にあるが、PERとPBRのばらつきは大きい

同じような利益率の企業でも、企業の規模も違えば株価も違う。
結果として、PERにもPBRにも、かなりばらつきが出るようです。

 

複数の指標で、複合的に判断が必要となる

高い利益率を出していたとしても、PERが大きすぎるのであれば、株価はかなり高くなってきている銘柄だと言えます。
きっと知名度が高いか何かの理由で、買われたのでしょうが、この先も良い業績が継続できるかどうかはわかりません。

 

PERとPBR、そして売上高と営業利益率

これでは次に、同じようにして作ったグラフに対して、色だけ変えて見ましょう。
グラフの色を、営業利益率から、ROEに変えてみました

縦軸  :PBR
横軸  :PER
円の直径:売上高
円の色 :ROE

 
PBRとPBRを軸にしてみた
 

おお、これは綺麗に傾向のような感じに見えましたね。
ROEは利益率と比例関係があるので、同じようなグラフになるかと思いきや、意外です。

また、ここから言えそうなことを挙げてみましょう。

 

高ROE銘柄は、低PER、高PBRの傾向にある

ROEが高いと言うことは、純利益が高いか自己資本が多いかのどちらかです。
資金をどれだけ有効に使って稼いだか、をはかる指標とも言えます。
しかし、その資金の出どころを問わないという側面もあります。
すなわち、借金が多くても、ROEが高いこともあるため、
単にROEだけみていても、長期投資を検討している場合、もう一歩踏み込んだ検討が必要となります。

 

低PER、低PBRでも、低ROE銘柄がある

左下の領域にある、PERとPBRの観点からしてお買い得に思える銘柄でも、よく見ると色が青い銘柄がありますね。ROEが0に近いか、マイナスになっていると言うことです。

これはまずいですね。

たまたま、当期利益が赤字となっているのかもしれませんが、これまたよく検討が必要と言えそうです。

 

ROEをさらに分析してみる

ROEの数値によって、投資対象として魅力的か否かがわかります。
が、その数値だけで判断するのは危険だとも、上で触れました。

そこで、さらに分析するために、ROEを分解して、それを可視化してみましょう。

 

ROEを分解する

ROEは、以下のように分解できます。

ここで注目したいのは、「売上高純利益率」と「財務レバレッジ」です。

  • 利益率
    • もちろん高い方が良いです。余計なコストをかけることなく、収益を上げられるか、要は高収益体質かどうかがわかります。
  • 財務レバレッジ
    • どれだけ負債を使って、事業に投資したかがわかります。負債が高くてもROEは大きくなるので、要注意です。

 

ROEを分解して可視化してみた

縦軸  :財務レバレッジ[倍]
横軸  :利益率[%]
円の直径:資本金[M円]
円の色 :ROE

 
ROEを分解してみた
 

ほほう、、、これは、、、、かなり興味深い結果ですね。

利益率とROEは比例関係にあります。
したがって、右に行けば行くほど赤いプロットが多くなることが予想されます。

が、そうはなっていません

 

ROEが高くて、利益率も高い企業

要するに、右に行けば行くほど赤いプロットになって欲しいのです。
全てそうなっているわけじゃありませんが、概ね、暖色系のプロットが右に寄っています。
さらに、財務レバレッジは低い傾向にあることから、
これはいい感じの健全経営になっている企業と言えるでしょう。

こうした企業は、数も多くありません。
これで割安な企業と判断できれば、あまり迷うことなく買い、ですね。

さらにこれも予想できることでしたが、資本金があまり大きくない企業が多いです。
機動力高く、タイムリーな経営判断ができているのでしょうか。

 

ROEが高いけど、(相対的に)利益率が高くない企業

ROEが高いのに、そこまで利益率が高くないと言うことは、

  • 財務レバレッジが高いか
  • 総資産回転率が高いか

そのどちらかです。

利益率が5%-15%くらいの企業でROEが高い企業、ありますね。
で、注意すべきが、「財務レバレッジ」が高い企業もあることです。

ここで何に注意すべきかと言うと、財務レバレッジが高い=悪ではない、と言うことです。
利益を上げるために、必要な資金を借入金で賄ったと言うことなのでしょう。
利益が出ているのですから、短期的な投資には、問題ないかもしれません。


あまり目立ちませんが、資本金が小さな企業の中に、
「利益率が高く」「ROEが高く」「財務レバレッジが小さい」企業が結構あります。
こういう企業は、つまり「総資産回転率」が高いと言うことですね。

資産を効率的に活用し、売上を上げるために効率経営をしていると言うことです。
確かに、効率を高めるためには、あまり大きな企業でない方が良さそうな気もします。

こうした企業が利益率を高めるために、どういう経営方針で企業経営を行なっているのか、
こうした観点でIR情報やその他の情報をみて見ると、それはそれで会社の成長を見据えるような気がして、
なんだか応援したくなるような気もします。

 

ROEが低くて、財務レバレッジが大きい企業

・・・・やばいっす。
早急な改善が必要となると思います。

 

最後に

今回は、PBR、PERに加え、ROEに注目した分析を行なってみました。
こうして企業の財務状況を一歩引いて見ると、市場経済の健康状態がわかりそうですね。

きっと世の中のアナリストと呼ばれるような人たちは、こうした分析を日々行なっていて、
その変化から、また新たな知見を得て判断を行なっているのでしょう。

今回、初回したような判断基準は、業界によってその様子がまた違ってきます
次回は、業界別にPBRやPER、ROEといった指標を比較して見ることにしましょう。

それでは。

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